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【第二回】怪談を作ろう~カタツムリとアヌビススペシャル~


2022年11月11日。我々は”じゃれ本”というサービスを使って怪談作りに挑戦しました。じゃれ本とは、前の人が書いたストーリーに次の人が書き足していき、物語を完成させることを目指すというものです。もはや怪談とは言えないものばかりですが、その中で作られた特に盛り上がった話を紹介します!

『進化カタツムリ』

たまには雨の中を散歩してみるのも悪くない。近所を歩いていると、私はアジサイの葉の上にかたつむりがいるのを見つけた。しかしこのかたつむり、よく見てみると何か変である。

いや、変というか喋った!10年ぶりに家から出たらこれだ…また"始まった"。

昔から不思議な現象に遭遇することが多かった。幻覚だと心配がる人もいれば、嘘だと罵る人もいた。でもじゃあ私の前のこのかたつむりは何なのさ。10年ぶりに会ったそれはこう続けた。「進化かたつむりはね、様々な過程を経て、寄生虫を体にまとわりつかせることにした。広東住血線虫はまさにその具体例だ。

かたつむりはそれだけでは飽き足らず、角と鋭い槍、100キロ先まで見渡せる目を手に入れた。そして、知能をも手に入れたかたつむり達は侵略を始める。奴らが攻めてくる。人間とかたつむりは仲間ではなかったのか?

かたつむり軍はついに攻撃を開始した。各国の首都や主要都市が攻め落とされ、人類は窮地にたたされていた。日本では東京、大阪、名古屋が相次いで壊滅状態となった。

「どうやら上手くいってるみたいね。」

優しそうな女性の声が聞こえる。

「今いいところなんだ、これで自由研究用のデータがとれるよ!」

 

(著者コメント)人間の世界は人間より上位の存在の飼育箱の中だったという結末。著者のセンスが光ります…

 

『赤い傘』

僕は、雨が止むのを待っていた。この時期の雨は、突然降りだすものだから、外出時は、心労がつのる。

錆びれたトタン屋根は、所々朽ちて穴が開いており、雨粒を容易に通過させていく。

しかし雨は一向に止む気配を見せない。僕は気の遠くなるような気持ちで周りの景色をボーっと眺めていた。すると、僕の視界の隅の方に何やら赤いものが映った。遠くから真っ赤な傘を差した女がこちらへ向かってくる。

「雨、止みそうにないですね」

女は一切の躊躇いを見せずに僕に声をかけてきた。

「えぇ…そうですね。」

話しかけられたものだから、たわいもない返事をしたとき、僕の視界に現実とは思えない”何か”が映った。

話しかけられたとき、僕は逃げるようにして目をそらしていた。雨音は煩雑なノイズのようにして、僕の認識を鈍らせていた。だから気づかなかった。女は、横にも上下にもいない。僕の”中”から話かけていた。

脳内に語り掛けてくる。女はか細い声で「傘を…傘を探してほしいの…」僕「傘?」「私の大切な傘、おいてきちゃった」「お願い、私の傘、見つけて…」女の声が冷たく響く。女の声はますます恐ろしく聞こえてくる。

「傘」、周りを見渡す。気付くと住宅街の道路の真ん中に立っていた。「傘を見つけてあげないと。」この道路はどこ迄続いているのだろうか。家の軒先、側溝の中、電柱の下───。「あった。」その傘は、交差点の

中央に佇んでいた。じぃっとこちらを見つめているのである。赤い傘が。こちらを見つめているのである。いてもたってもいられず私は交差点に飛び込んだ。

その瞬間、、、

私の眼前にあったのは、トラックだった。私は、何も考えることができなかった。ただただ、突進してくる鉄の塊を見ることしかできなかったのである。

次に目を覚ました時には私は病院のベッドに横たわっていた。どうやら大怪我をして長い間意識を失っていたらしい。しかし私は助かったのだ。今までにこんなにも生きているということを嚙み締めたことは無かった。

一か月後、私は退院し、せっかくだからと近くのデパートに足を運んだ。入口ですぐさま目に入ったのは、「赤い傘」だった。私はあまりのトラウマで、泡を吹いて倒れ、またしても病院へ運ばれてしまった。

 

(著者コメント)これは怪談らしくできました!

 

『アヌビスとミミズ』

「アヌビスとは 古代エジプトで金狼犬あるいはこの首をもつ人体で表される神で、一般に死者の神、あるいは墓地の神とみなされる。」

私は辞書を閉じてため息をついた。なるほど、だから彼女は、、、

昨日、頭がおかしいのか。ご近所さんと出会うと犬のようにワンワン忠犬のごとく吠えるし、電柱に小便をするのである。しかしながら、お墓に対して小便はしない。これは彼女がまぎれもなくアヌビススペシャルだからである。

アヌビススペシャルとは、遠い西の国から飛行物体に乗ってやってきた、古代生物兵器なのである。だが時々彼女は窓の外のある方角を見つめて寂しそうな目をしていることがある。故郷に帰りたがっているのだろうか。

「故郷が恋しいですか」僕は彼女に問うた。「いいえ、違うんです」「それではなぜ悲しい目をするのです」すると、彼女は静かに言った。「私がアヌビススペシャルに乗って戦えば、あの者達の存在は無かったことになる

僕は軽蔑の眼差しを彼女に向け、

「戯れ言に付き合う暇はない」と言い残し、その場をあとにした。あの少女がアヌビススペシャルを扱えるわけないじゃないか。

歩く。アヌビス。死者の神、墓地の神。馬鹿馬鹿しい、と理解しているものの思考が止まらない。「ミミズ」。ふと、頭に浮かんだ生物の死体を分解するあの虫。その時、点と点が繋がった。「アヌビススペシャルって、

腐食作用によって、分解者になることを指すのかと思った。アヌビススペシャルはミミズのことを指すのである。

 

(著者コメント)壮大な話にしたかったのにミミズに着地してしまいましたね。ファラオの怒りあれ。

 

 

いかがだったでしょうか。よくわからない話が多かったと思いますが、特に自分たちで盛り上がった回を三つ紹介しました!お互いの意思が食い違うところがじゃれ本の醍醐味ですね。ここで一つ思ったのですが、この作品の著作権ってだれにあるんでしょう…?

細かいことはとりあえず、これを機に皆さんも”じゃれ本”遊んでみてはいかがでしょう。

あと、途中で誰か一人でも回線落ちしたらゲームが成立しなくなるの修正してくださいよ、運営さん…

 

(執筆:会員N イラスト:副会N)